地域連携PBL「由井プロジェクト2」

1つ前の記事に概要をまとめた由井プロジェクトで連携した八王子社協、地域福祉推進拠点 由井の職員さんからご相談いただき後期も由井地域を拠点に1つプロジェクトをご一緒することになりました。

前期は「子どもたちの居場所づくりをしたい」という課題でしたが、後期の対象は高齢者。東京都とはいえ、このエリアも高齢化が進んでおり、年々高齢者の一人暮らし世帯が増えているのとのこと。その方々をなるべく引きこもりにしないために、社協としてはサロンという場づくりや、イベントなど様々な取り組みを行っています。

その中で毎年恒例としてやっている企画に、地域の民生委員さんが主導する「昼食交流会」という企画があります。このイベント毎年やってはいるものの、同じことの繰り返しとなってきておりだんだん閉塞感が出てしまっているとのこと。

『参加する皆さんも同じことの繰り返しでは飽きてしまうのではないか、外に出てもらうことを意図して行っているのに、そのきっかけにならなくなってしまっては元も子もない。』ということで、参加者同士の交流を促すような新しいアイディアを吹き込んでもらえないか、というご相談をいただきました。

この課題に対処するため前期に由井プロジェクトに参加してくれたメンバーを主軸にチームを再編成し、課題解決に向けて活動をスタートしました。

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概要
期間:9月中旬〜10月中旬
課題:高齢者が外に出るきっかけ作り
行動:「昼食交流会」にて参加者同士の交流を促す企画の提案
参加者:5名
内訳:応用生物学部:1名
   コンピュータサイエンス学部:1名
   メディア学部:1名
   工学部:2名
協働先:八王子市社会福祉協議会 地域福祉推進拠点 由井

*プロジェクトの日々の活動記録は学生たちがこちらのブログに記事を書いてくれています。
 東京工科大学学外活動ブログ 由井プロジェクト

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前期の由井プロジェクトと異なるところは、なんと言ってもその期間の短さ!夏休みの関係もありスタートできるのが9月中旬からとなるため、本番まで約1ヶ月しか準備期間をとることができません。そのためプロジェクトフローは前期の流れを受け継ぎつつも注力する部分と省力する部分にメリハリを持たせることで短期化しました。もちろん、これには前期の経験者が引き続きメンバーになってくれたことも影響しています。また、プロジェクトを回す際いつでもじっくり時間をかけて準備できるわけではありません。時には、短期間で実現せざるを得ないこともあります。そのような経験値にもなると考えました。

プロジェクトの大まかな流れは以下の通り。社協さんとの関係性も構築されていたことからスタート日から、ご一緒いただきました。

社協さんからのレクチャー(センターの現状や理想としていることなど)
レクチャーを踏まえてスケジュール・ゴールイメージを共有する
企画の種となるアイディア出し(この段階で方向性を一致させる)
       ↓
学内メンバーで企画内容を詳細まで詰める
       ↓
社協さんに向けてプレゼン、フィードバック
       ↓
企画実施に向けた準備
       ↓
リハーサル
       ↓
本番
       ↓
リフレクション
(企画立案や準備は複数日数かけて実施)

前期と大幅に異なるところはプロジェクト初日のプログラム。この日に核となるアイディアを出し合い、おおよその方向性に目処が見えたことが短い日数で実現することに向けて大きな推進力をもたらしました。もちろんメンバーたちが企画を立案することに必要なタスクやスケジュール感の全体像をイメージできていたことも寄与していると思います。この「大枠を俯瞰して理解する」ためにはやはり経験値ってとても大きいですね。

プロジェクトがスタートする日。社協さんによる説明を受け、そのまま一緒に企画に対するアイディア出しを行いました。

ワークショップの手法を用いて、アイディアを具体的な企画案に昇華します。

出来上がった企画案をプレゼン。その場でフィードバックをもらいながら意見交換して、クオリティを高めます。

本番で使う小道具も全て手作り!参加者数が150名程度と大人数のため作る量も膨大!学生の中には「職人」と称されるほどに上達したメンバーも!

この小道具が「交流を促す」仕掛けを生み出します。

本番を想定してのリハーサル。プログラムの進行も行うため、その様子を録画してチェック。

約1ヶ月という期間ながらもスムーズに企画立案が進んだのは、前期に取り組んだ経験値もさることながら、プロジェクトに対する前向きな気持ちが大きいと感じました。授業や課題が他にもある中、6限後などの授業が終わった遅い時間に集まり、短い打ち合わせ時間をやりくりしての準備はおそらく負担も多かったと思います。それでもモチベーション高く最後までやり抜けたのはメンバーの関係性の構築ができていたのも要因に上がってくると感じました。

さて、そのようにして実現した企画はどうだったのでしょうか。

本番の様子はこちらのブログ記事をご覧ください。

今回のプロジェクトは、短期間で実現する=納期を守る、ということをいやがおうにも意識せざるを得ないものになりました。社会に出ると常識でもあるこの「納期」ですが、学生たちの間では「目安」という認識になってしまっていると感じます。大学では締め切りを過ぎても受け取ってしまうことで、学生たちにもどこかに「なんとかしてもらえる」という甘えが生じているような気もします。もちろん大学側がそれではダメなのですけど。

期間が短いということで、ある作業の締め切りに少しでも遅れが生じると、次の作業に影響を及ぼしてしまう。それが積み重なるとゆくゆくは大変なことになるということを体験を通して理解したのではないかと思います。

また、今回は大規模なイベントであったため、関わる人が多数多世代に及びました。これだけ多くの人がイベントに関わっている、つまりそれだけ多くの人が地域にはいて、お互いに関係し合っているということの気付きも得られたようです。その中で他大学の学生との関わりが生まれたことも少なからず影響していると感じられました。

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東京工科大学で行っている地域連携PBLプログラムをこちらにアーカイブしています。


satohiroki-Lab.

ワークショップデザインをベースとしたAL、ファシリテーション、地域連携コーディネートを実践・研究しています。

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