地域企業・社会活動団体と協働授業を行っています。
東京工科大学の教養系科目「アカデミックスキルズⅡ」の佐藤が受け持つクラスでは、地域の企業や社会活動に従事する団体と、協働で授業を行っています。
佐藤が担当するクラスのテーマは「地域・コミュニティ」。この導入時にまちづくりの活動を実践する際に大事なキーワードを3つあげ事例と共に説明をしています。
アカデミックスキルズは、前期で受講するⅠでレポート執筆などの際に必要となる「論述力」を、後期に受講するⅡでは他者にわかりやすく自分の考えや想いを伝えるための「プレゼンテーション力」を養う、2年生の必修科目です。
この「他者」ですが、誰を対象とするか、によって、伝え方には大きな差があります。これまで学生たちは小中高と同じクラスや学校にいる他者、つまりほぼ同じバックグラウンドを持つ他者に向けて伝えるということを多くやってきました。そこでは似た価値観の中での伝えるという行為のため、全てを伝えずとも、聴き手が類推して伝わるということが起こっていたのではと思います。
しかし、学生たちはこれから社会に出ると様々な世代や国籍・文化の人たちと関わりを持っていくことになります。このような中では、普段自分の身の回りの人たちに向けた「伝え方」では言わんとしたことが伝わりにくくなると容易に想像がつきます。
そこで佐藤のクラスでは、「異なるバックグラウンドを持つ他者に」自分たちの考えをわかりやすく伝えるための練習を兼ね、外部との協働授業といったスタイルをとっています。
また、協働先を考えるに際して「地域」をキーワードに掲げたのにも理由があります。現代の学生たちの多くが主な活動領域としているのは「大学」「バイト」「家」という3つが上がるのではないかと思います(佐藤はこれを「学生トライアングル」と呼んでいます)。これは学生たちにヒアリングしても多くの学生がうなずくポイントでしたので、そんなにズレはいないようです。
授業や課題、そしてアルバイトに忙しい学生たちは、なかなか時間がなく、また、この中である程度の用が足りてしまうため、このトライアングルの外に出ることができずにいます。これはつまり先に説明した「似た価値観の中」にい続け、染まってしまう可能性があります。
アルバイトという活動は、外の価値観に触れることができる領域ではあります。しかし、このコミュニティもある種の同じ価値観の中にあると共に、義務という側面が強いためか、ここで得られる経験をポジティブに捉えられている学生は少ないように感じます(もちろんこの場をポジティブに捉え成長の糧にしている学生も、少数ですが、います)。
大事なのはこの大学とバイトと家というコミュニティの持っている価値観だけが、全てではないと認識することです。そのためにはこれら以外の外に出ることが必要です。そのため、外部連携の授業で外の価値観に触れると共に、地域を舞台に「ポジティブに」活動を行う人たちを知ることで、外の世界に興味を持ってもらいたいと考えてこの授業を行っています。
この狙いのもと、今年度は以下の団体・みなさんと協働授業を実施させていただきます。プレゼンテーションの題材とするテーマは、各企業・団体が実際に取り組んでいる「課題」をご提示いただき、一緒に解決策や提案をまとめていきます。
応用生物学部
協働団体:Co-Study Space 「POSSE」
運営代表 関谷昴さん
課題テーマ:「中学生・高校生世代のサードプレイスを考案せよ」
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メディア学部
協働団体:若者のママの投票率向上委員会in市川
共同代表 須藤ややさん
協働団体:Urbo Lab
運営代表 上原一紀さん / 中澤義光さん
課題テーマ:「若者世代の投票率アップを促すゲームを制作せよ」
今回扱うテーマは、どれもいわゆる「答えのない問い」と表現されるものです。学生たちはこれまで相対してきた「正解のある問い」に対する姿勢からのマインドシフトが求められます。社会に出て相対するのは、この「答えのない問い」が大多数を占めます。自分たちの導き出した「答え」に自信を持って深めていけるように授業を行っていきたいと思います。
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