コクヨ株式会社との協働研究を行いました。

 コクヨ株式会社さんの製品「KAKIAGE」を活用して、グループワークの円滑化に関する協働研究を行いました。

 「KAKIAGE」は、PCの画面を通してオンライン上に仮想のホワイトボードを作成するツール。テンプレートも複数備えられており、それらを活用して遠隔環境下においてもプロジェクト進捗共有やアイディアの整理などができるものです。

 このツールを活用して、学生たちのグループワークの作業をより円滑にすることができるのか、というのが今回の研究で設定した課題です。学生たちはグループワークを行う際、基本的に対面で集まった際に話し合いや作業を行い課題をこなしていきます。

 しかし、グループワークで課される課題は、授業時間だけでこなせるものではありません。授業以外の時間もグループメンバーとコミュニケーションを行いながら作業を進める必要が出てきます。その際、これまで多くみられたシーンはLINEを活用したやり取りが主でした。LINEのようなチャットツールは全員が使っていて身近な反面、メッセージがどんどん流れてしまいロスが生まれていました。

 そこでオンライン上でのプロジェクト管理を主な目的とする「KAKIAGE」を活用することによって学生たちのグループワークにポジティブな変化をもたらすことができるのか、ということを調査しました。

 実践対象としたのは、佐藤が受け持つ東京工科大学のキャリアデザインⅠというPBL形式の授業です。この中で、授業外のやり取りに活用することが多いLINEをKAKIAGEに変えることで、議論のプロセスを可視化しすることによって全体を体型的に把握できるようにするとともに、記録が残るようにしました。また授業内でも議論を行う際に事前に作成したフレームワーク(自己紹介、段階的に議論を行うためのトピック、プレゼンへのフィードバック、KPTを使ったリフレクションなど)を活用することで、対話する内容の大枠を作ることで議論を効率的に行うことができたと感じます。

△KAKIAGEを活用した議論の様子

△KAKIAGEを活用したKPTリフレクションの様子


 今回の協働研究の結果、学生たちからは「議論の履歴が体型的にわかることが良い」といった意見や、「授業外は議論に参加できる時間が個人個人バラバラなのでLINEだと参加できないことが多いが、内容がそのままの凍っているので気づいた時に書き込めることなどが良かった」といった時間に縛られずアイディアを出せることなどに対してポジティブな意見が多く上がりました。また、興味深かったのは普段からコミュニケーションが苦手な学生がKAKIAGEへのアイディアの書き込みを通して、他のメンバーを打ち解け時間が経つにつれて対面でのコミュニケーションも自然と行えるようになったという変化があったことです。

 これらの詳細な結果は2019年に行われた「マナビフェス」のポスターセッションの場で、発表させていただきました。


 2021年現在、コロナ禍によってオンライン授業が一般化した中、KAKIAGEのような仕組みのツール(Google Jamboard や Miro など)が多く出てきました。オンライン授業だけでなく、対面の授業においてもこのようなツールを活用することが、学生たちの学びを深める1つの要因になると思います。

satohiroki-Lab.

ワークショップデザインをベースとしたAL、ファシリテーション、地域連携コーディネートを実践・研究しています。

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